2023年3月15日 水曜日
3月15日、令和4年度卒園式を行いました。ここ数日、寒い日が続いていましたが、この子たちらしく、お天気を味方につけて最高の日和の中、無事に卒園式を迎えられたことを嬉しく思います。
お天気にも、人にも恵まれた学年でした。前年度までの担任だったS先生は前日の準備の段階で「こんなに立派になった姿を見られて感動だ」と早くから泣いていました。今も私の横でいろんな思い出を語りながらぐすぐす泣いています。誰からも愛される子どもたちで、幸せな学年だったと思います。
今年の年長児が入園する少し前に、中国で「コロナウイルス」が爆発的に増えているとニュースになりました。その後、クルーズ船の中で感染者が出た、と言っている間に国内での感染者が確認され、わたしたちの住む愛媛県でも…とあっという間に世の中はコロナ禍になってしまいました。“3密を避ける新しい生活”に移り変わり、幼稚園生活もこれまでとは違うものになっていきました。入園してすぐ幼稚園と遊ぎ場と別れて自由登園になりました。さんさんらんどの工事が始まる少し前の遊ぎ場、山を切り崩して整地したばかりの野原で一カ月ほど青空教室でした。テントの陰の下でお弁当を食べ、山へ駆けて行き、お日様とたっぷり遊ぶ生活。そして反対に、感染防止のためにと入園したばかりで期待もふくらんでいたはずなのに、お家で待っていてくれた子どもたちもいました。みんなが揃って幼稚園で生活をし始めたのは5月20日でした。きっと保護者の方も不安な気持ちを抱えての新生活だったことと思います。大人の不安を吹き飛ばすように幼稚園で行事も子どもだけのと銘打って今までとは違った形に変わり、いっぱい遊んでたくましくなった子どもたちは、こんなに大きく立派に成長しました。
マスクを外して笑顔で入場してくる子どもたちを見るだけで感慨深いものがありました。
各クラスで教師につけてもらった120人お揃いのコサージュ。これは三葉っこの証です。入学式にぜひ着けて行ってくださいね。みんな一緒。みんな仲間です♪ コサージュを胸に元気いっぱい行進して着席すると、背筋がぴんと伸びたのにお気づきでしょうか。これは、「立派な背中をお父さん、お母さんに見てもらう」と約束したからなのです。式中、前を向いて一生懸命話を聞くことができました。今日は急遽で申し訳なかったのですが、二人目の方にもテラスに入ってもらうことにしました。マスク着用の義務がなくなったとはいえ、5類に分類されるのは数カ月先…ということをいろいろ鑑みての今日の判断です。どうぞご理解くださるとありがたいです。
立派な背中、立派な横顔を見てもらいながらの修了証書授与では、園長から一人ひとり修了証書をもらい、花道を歩いて保護者の元へ歩いていきます。にこにこと照れくさそうに歩く子、一生懸命真面目な表情で歩く子、古森先生に「はい、礼よ。くるんってするよ。歩くよ~」と声をかけてもらうのが嬉しくてそれを待たなければ歩き出さない子…120人それぞれ様々な姿を見せてくれました。
花道の先で待つお父さん、お母さんたちがハンカチを握りしめ、微笑みながら涙を浮かべたり、逆に涙を見せまい!と唇にぎゅっと力を入れたり、大切な大切なわが子の成長を噛みしめていらっしゃる姿は感動的でした。練習の時も子どもたちは教師の元へ満面の笑みで歩いてきていましたが、やっぱりお父さんお母さんのところへ行く子どもたちの笑顔はとても素敵でした。
園長の話では、古森先生が今朝本当に古森先生の身に起こったことを話し始めました。朝、古森先生のマンションでは水道のトラブルでお水が出なかったそうです。慌ててドアの外へ出ると、同じように困っている住人がざわざわしていました。「今日は卒園式だから、早く行かなきゃ先生たち困るだろうし、でも朝の準備はできないしどうしよう」と悩んでいた…と。そこで古森先生が「みんなだったらどうする?」と問いかけました。「お茶を買いに行く」とぴんと手を伸ばし、堂々と答えたYくん。それに続いて「お水を買えばいい」と口々に言い始めました。次に「300円自動販売機に入れたんだけど一本しか出てこなかったのよね。なんでだと思う?」と聞くと「お水が一本300円だったんじゃない?」「一本ずつ買えばいいんよ!」とまるで卒園式とは思えないほどリラックスした様子で園長と会話をし始めたのです。それを見て「こうやって一年、いやたんぽぽを含めると4年間生活してきたもんなぁ、なんだか普段の保育みたい」とふふっと笑ってしまいました。園長も、この子達だったら何か問いかけたら反応があるだろう、答えが返ってくるだろうと踏んでの、あの話だったそうです。子どもたちが式の楽しい雰囲気を作ってくれました。子どもたちに古森先生が話してくれたのは、「これから地震とか災害とか、コロナみたいにみんなに何が振りかかるかわからないよ。でもそんなときにいっぱい考えて自分で解決していってほしい。幼稚園ではそういう風に生活してきたよね、だからみんなだったらできるよ。」ということでした。また、幼稚園で伸び伸び遊んでいっぱい自分で考えて生活してきたこの子達だからこそ、もしかしたら今後何か制限がかかったり、周りを固められたりすると苦しくなることがあるかもしれない。でもそんなときは幼稚園にぜひ帰っておいで、心がしんどくなったときは幼稚園に戻っていっぱい楽しかったことを思い出してまた頑張れる時まで休んだらいいと話してくれました。保護者の皆様、ぜひ心に留めておいてほしいなと思います。幼稚園はいつまでも三葉っこのものです。いつでも、いつまでも「おかえり」と待ってます。
記念品授与では「いっぱい食べて立派な小学生になります」と堂々とAちゃんが代表で受け取った砥部焼の絵皿や「大切に見ます」と受け取った卒園記念DVD、家族でわけっこする「紅白のおもち」、目覚まし時計、自分たちで作った文集、鉛筆を頂きました。
感染防止の観点から今年も見合わせた在園児からの別れの言葉はたんぽぽさん、年少さん、年中さんがみんなで協力してメッセージムービーを作ってくれました。今日が初見の年長児と年長担任達は一言一言一生懸命言ってくれる小さい子たちの言葉に大人も子どももみんなうんうん、と頷きながらムービーを見ていました。かわいくて嬉しくて心があたたかくなりました。
そして、卒園児の別れの言葉です。練習では今まで起きなかったハプニングがありました。かっこいいところを見てもらいたいというはやる気持ちで緊張感いっぱいの代表の子の言葉を一つ飛ばしてしまったのです。気づいた担任が学年の教師へ、そして教頭、園長へ・・・と伝達をしました。せっかく代表になって今まで一生懸命練習をしてきた子どもの気持ちを考えると、このまま続行するという判断はありませんでした。園長に伝えると冷静に状況を把握し「わかった」と園長がほほ笑んで頷きました。私は「あ。大丈夫だ。なんとかしてくれる」と思いました。そのままピアノのY先生に「二回目やり直すから」とこっそり伝えに行くと「え?何々?やり直す?ピアノ止める?ここまで弾いたら止めるね!」とぐい~んと顔を伸ばし、手だけはぽろぽろとピアノを弾き、「プロだわ~」と感心しました。(式の真っただ中、こんな舞台裏があったのです。)ピアノを止め、きょとんとする保護者に「実は~」と事情を話し、二回目をすると伝えると「もう涙涙なのにまたするの~?!」とあたたかい笑いが起こりました。子どもたちが偉かったのは、二回目の別れの言葉で気持ちを切り替え、一回目よりも大きな声で立派に言葉を言えたことです。大好きな子どもたちの大切な言葉が二回も聞けてラッキーだと思ったのはわたしだけでしょうか?笑
あたたかい笑いに包まれるこの子たちらしい卒園式だったと思います。退場して、部屋に戻ると「あ~楽しかった!」となんとも力強い言葉が聞かれました。笑いました。
“楽しい卒園式っていったい・・・”と最後まで明るい楽しい子どもたちでした。と思いきや、部屋でのクラス活動でぞう組の子どもたちはさみしくなってきてえんえん泣き始めたのです。感受性豊かなかわいい子どもたち。4クラスともアーチの前で手を合わせ「また会おうね!」とみんなで約束をしてアーチをくぐり、先生たちとのお別れの時間になりました。
今年の保護者の中には卒園生がいっぱいいます。中にはY先生が三葉で先生をする前、自分の子どもを通わせていた頃、Y先生の子どもと同じバス停で園バスに乗って来ていたお母さんがいるそうです!式中園長の言葉にもあったように、数十年後、この子たちがお父さんお母さんになって帰ってきてくれたら嬉しいなと思います。
かわいい大切な子どもたちを幼稚園に預けてくださった保護者の皆様、本当にありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。長くなってしまいましたが、それは今年の卒園式がとても楽しかったから・・・。最後まで読んでくださってありがとうございました。