2009年4月30日 木曜日
「たいへん!たいへん!先生急いできて!!」と言われて走っていくと、「イチゴが誰かに食べられとる!」と子どもたちが集まっていました。一番に気づいたのはお歩きで早く来ていたSちゃんでした。子どもたちはかばんをかけたまま立ちどまり、犯人探しを始めました「虫じゃないかな。」「鳥じゃない?」と意見が出る中「はちじゃない?」とTくんが言い始めました。すると古森先生が「はちさんはイチゴを食べるんじゃなくて花の甘ーい蜜をもらって、花の粉を別の花に運んで実がなるんだよ!」と話してくれました。すると、Tくんは「そうなんだ!はちがいなくなったら大変!他のお花さんもなくなって実もならなくなっちゃう!」とイチゴだけでなく他の花にも影響があることに気づいたのには驚かされました。反省会で古森先生は付け加えて、世界的にはちが少なくなってきているという話をしていただきました。大人ははちが減ってしまうことを数や理屈で理解していますが、子どもたちは自然とかかわって実際の体験の中ではちがいなくなっては困るということに気づいていくのです。
また、イチゴ事件には続きがありました。犯人が分かったのです。それはいつも木の上から子どもたちの様子を見ていたカラスたちでした。そして、子どもたちとカラスの知恵比べの始まりです。古森先生がネットをしてくれたのですが、少し足りなくて、「届かないところどうしよう?」というつぶやきを子どもたちは聞き逃さず「脅かすものを作ろう。」と作業が始まりました。はじめは「怪獣みたいのがいいんじゃない?」というF君の意見から始まり、イメージを広げて行きました。「動くのがいいよね!手で動かせるようにしたらどう?」「僕たちがいないときはどうする?」とたくさんの意見が出てくると、ふと、こいのぼりを見たF君が「こいのぼりみたいに風で動くようにしよう。こいのぼりの怖いのを作ろう。」と意見がまとまりました。それからも、「大きくないとね。」「雨が降ってもいいように牛乳パックがいいよ。」「目は光らせたいね。」と廃材からイメージをするものを集めてきて大きなこいのぼりが完成しました。子どもたちのこだわりで目は光るカンを使い、袋をいくつもつないで大きくし、うろこは水に対応できるよう牛乳パックを使った思いのこもったこいのぼりになりました。こいのぼりをイチゴの上につるすと、遠くから見て「これならカラスも来ないよね。」と納得していたようです。
そしてさすが三葉っこと思わされたのは、こいのぼりをつるしていると「先生出来たよ!」と別のJ君、K君、W君がパクパク人形を使ってかかしのようなものを作って持ってきました。それぞれの発想でカラスとの知恵比べが始まりました。子どもたちの頭の中には昨年、きれいに実ったトマトが、カラスにつつかれた苦い思い出がよみがえっていたのでした。このように、子どもたちは自然とのかかわりで体験したことや生活の中で気づいたことを知恵や知識として貯えて応用していくのです。まさに、子どもたちの遊びや生活は科学なのです。そして、そのことが小学校や中学校さらにその上の学校の研究や理論への入り口へとつながっていくのです。幼児期の教育、幼稚園での遊びや生活の内容の大切さを実感した出来事でした。
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